第1章 目覚め
「弓での狩りは難しいが、もっと確実な方法もある。」
カイトはそう言いながら、小さな縄を取り出した。
「罠だ。」
「罠……?」
私は興味津々でカイトの手元を覗き込んだ。
「獲物の通り道や習性を知っていれば、罠で確実に仕留めることができる。弓矢と違って動き回る必要もないし、何より成功率が高い。」
カイトは地面に小さな穴を掘り、枝と縄を使って簡単な落とし穴を作った。
「これは小型の罠だ。動物が踏み込めば、枝が動いて縄が締まる。こういうシンプルな罠でも十分に効果がある。」
「へぇ……すごい。」
「パイロ、お前がやるんだ。」
「うん……!」
パイロは慎重に手を伸ばし、指先で地面の感触を確かめながら、罠の仕組みを探っていく。
「……ここに縄を通せばいいんだね?」
「そうだ。そのまま引っ張れ。」
パイロが言われた通りに縄を引くと、罠がしっかりと作動した。
「……できた?」
「ああ、上出来だ。」
カイトは満足そうに頷く。
パイロは嬉しそうに微笑んだ。
***
翌日、私たちは仕掛けた罠を確認しに行った。
「……!かかってる!」
私たちの仕掛けた罠には、小さなウサギが捕まっていた。
「やった……!」
パイロも興奮気味に声を上げた。
カイトは罠を慎重に外し、ウサギを手に取る。
「これで食料は確保できたな。」
私は嬉しさと同時に、少しだけ胸が痛んだ。
(この子を……殺さないといけないんだ……)
そんな私の迷いを察したのか、カイトは静かに言った。
「命を奪うことに罪悪感を覚えるのは当然だ。だが、俺たちは生きるために狩りをする。生きるために、このウサギの命をもらう。それを忘れるな。」
私はぎゅっと拳を握り、しっかりと頷いた。
「……わかった。」