第1章 目覚め
「今日は狩りの基本を教える。」
カイトは手にした弓を見せながら、淡々と説明を始めた。
「生きていくためには、食料を確保することが必要だ。狩猟はその手段のひとつだが、単に矢を放てばいいってもんじゃない。獲物の動きを読み、音や気配を感じながら、確実に仕留めることが重要だ。」
カイトは手慣れた動作で弓を構えると、近くの木に向かって矢を放つ。
——シュッ、ドンッ!
鋭い音とともに、矢が的確に木の幹に突き刺さった。
「弓を使うにはコツがいる。まずは構え方から教える。」
カイトは私とパイロに、それぞれ弓を手渡した。
「弓を持て。利き手で弦を引き、矢を正しくセットする。狙いを定める時は、できるだけ肩の力を抜き、息を止める。余計な動きを抑えて、弦を引く感覚を覚えろ。」
私は慎重に弓を構え、カイトの指導を思い出しながら矢をつがえた。
「……いくよ。」
狙いを定め、ゆっくりと息を止めて——シュッ!
しかし、矢は全く違う方向に飛び、地面に突き刺さった。
「……うぅ、難しい!」
「まあ最初はそんなもんだ。何度もやって感覚を掴め。」
私は何度も挑戦し、少しずつだが矢が狙った方向へ飛ぶようになってきた。
パイロも弓を構え、矢を放ってみる。
——スカッ。
「あっ……」
矢は完全に的を外れ、地面に落ちた。
「……僕やっぱり……」
パイロは悔しそうに唇を噛む。
カイトはそんな彼に近づき、静かに言った。
「パイロ、お前には目が見えないハンデがある。だが、それは決定的な弱点じゃない。」
「え?」
「お前には視覚の代わりに、聴覚や空気の流れを感じとることに長けている。音を頼りに、獲物の動きを読めば、弓も当たるようになるだろう。」
パイロはその言葉に、しばらく黙って考えていた。
「……僕も、ちゃんと当てられるようになれる?」
「ああ。心配するな」
カイトはそう言って、パイロの頭を優しく撫でた。