第1章 目覚め
カイトは火切り棒を火切り板のくぼみにセットし、弓の弦を一回転させて巻きつける。
「この状態で、弓を前後に動かして棒を回転させる。力任せじゃなく、一定のリズムで動かすのがコツだ。」
カイトが弓を前後に引くと、火切り棒が回転し、次第に煙が立ち上る。
「……すごい、本当に火がつきそう!」
カイトは回転を続け、じわじわと摩擦熱を加えていく。しばらくすると、火切り板に溜まった木屑が焦げ始めた。
「この黒く焦げた部分が火種になる。これを火口に移して、慎重に息を吹きかけるんだ。」
カイトは火種を火口に落とし、そっと息を吹きかける。すると、ポッ……と小さな炎が生まれた。
「すごい……!」
私は自分でも試してみることにした。
しかし——
弓を引く動作がぎこちなく、回転が不安定になってしまう。
「力を均等に入れろ。弓の動きを意識しながら、一定のリズムで動かせ。」
カイトに言われ、私は慎重に動かしてみる。
「はぁ……!はぁ……! まだ煙すら出ないよ……!」
「最初はそんなもんだ。続けろ。」
そして、ようやく——
焦げた木屑が溜まり、火種が生まれ始める。私は慎重に火口に移し、そっと息を吹きかけた。
「お願い……燃えて……!」
乾燥した草が赤く染まり、そして——
ポッ……と小さな炎が生まれた。
「やった……!!」
私は喜びのあまり、思わずガッツポーズをした。
***
「次はお前の番だ、パイロ。」
「僕にできるかな……?」
「視覚に頼らずとも、これならできるはずだ。」
パイロは慎重に火切り棒を持ち、手探りで火切り板のくぼみにセットする。
「弓を前後に動かして、棒を回転させろ。」
「うん……!」
パイロは慎重に弓を引いた。
何度も試行錯誤しながら、少しずつコツを掴んでいく。
「……煙が出てきた!」
パイロは指先で熱を感じながら、慎重に火口へと移した。
「フッ……フッ……」
ポッ……
そして小さな炎が生まれた。
「やった……!!あつっ...!」
「……いいペースだな。」
カイトが満足げに頷いた。