第1章 目覚め
魚の捕り方を学んだ後、カイトは次に火起こしを教えると言った。
「次は火を起こす方法を教える。食料を調理するにも、寒さをしのぐにも、火は必要不可欠だ。」
カイトはそう言いながら、適当な木の枝を拾い上げた。
「色々な方法があるが、今回は『弓切り法』を覚えてもらう。」
「弓切り法?」
私は首をかしげた。
「木と木を擦り合わせて摩擦熱で火をつける方法だ。弓を使って高速で回転させ、効率的に火種を作る。」
カイトはそう言うと、適当な木を選びながら続けた。
「まずは道具を作るところからだ。いいか、火を起こすには次のものが必要だ——火切り板・火切り棒・弓・押さえ木・火口。順番に作るぞ。」
***
「まずは弓を作る。しなやかで折れにくい木を選べ。力を加えてもしなって折れないものがいい。」
カイトは適当な枝を見つけ、手際よくナイフで整えていく。
「うぅ……削るのが難しい……」
私は不器用ながらも枝を削り、なんとか弓の形にする。ふとパイロを見ると、指先の感覚を頼りに、編み込んだ草を弦にしていた。
(パイロ、器用だなぁ……もしかして本当は見えてる……?)
「よし、弓ができたら次は火切り板だ。乾燥した木を使え。濡れてると絶対に火がつかないからな。」
カイトは木片に小さなくぼみを作ると、火切り棒を押し当ててみせた。
「次に火切り棒。これは硬めの木を使え。火切り板よりも柔らかすぎると摩擦が生じにくい。」
「なるほど……」
私は指で火切り棒の先端をなぞりながら、適当な長さに削る。
「最後に押さえ木と火口(ほくち)だ。押さえ木は火切り棒を固定するためのもので、しっかり押さえられるものを選べ。火口は乾燥した草や木くず、鳥の羽毛なんかが適している。」
カイトは火口に使えそうな枯れ草を集め、手のひらで揉みほぐしていた。
「さて、準備はできたな。あとは実践するだけだ。」