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月の祈り

第1章 目覚め


翌日、私達は近くの川辺に来ていた。

「川の魚は、動きが速い。槍や網を使わずに捕るには、奴らの習性を利用しろ。」

カイトがそう言いながら、川の中に点在する大きめの岩を指差す。

「魚は岩の影や水底の隙間に隠れることが多い。そこに衝撃を与えれば、驚いて飛び出してくる。」

「え、じゃあどうやるの?」

「簡単だ。川にある岩に、大きめの石をぶつける。 それで飛び出した魚を手で捕まえろ。」

「えぇぇ……!?」

思わず声を上げる。

「そ、そんな方法で本当に捕れるの……?」

「やってみろ。」

私は半信半疑で、川の中の岩に近づき、大きめの石を持ち上げる。

「せーの……!」

ゴンッ!!

「わっ……!」

岩に石をぶつけた瞬間、下に隠れていた魚が勢いよく飛び出した!

「すごっ……!」

水面がバシャバシャと跳ね、魚がパニックを起こしている。

(この隙に……!)

私は思い切って両手を突っ込み、跳ねる魚を抱え込んだ!

「捕まえた!!」

びちびちと暴れる魚を押さえつけながら、私は興奮気味に叫ぶ。

「……ほう、やるじゃねぇか。」

カイトが感心したように頷く。

「すごいね、ヒツキ!」

パイロが嬉しそうに声を上げた。

「パイロもやってみろ。」

「え、僕も……?」

「日頃に頼らなくても、色々出来るようになっただろ?」

「パイロ、おいで!」

私はパイロの手を取り、ゆっくりと岩の方へ誘導する。

パイロは少し不安そうだったが、慎重に手探りを始めた。

「……この辺かな……?」

私はそっとパイロの横に立ち、小さく頷く。

「うん、そこ!私が石をぶつけるから、手を構えて……!」

パイロが川の中でじっと構える。

私は再び岩に向かって石をぶつけた。

ゴンッ!!

バシャバシャッ!!

「きた……!」

パイロは水音を頼りに、手を伸ばす。

「……捕まえた!!」

「すごい、パイロ!」

パイロは驚いたように魚を抱え、嬉しそうに笑った。

「やった……!ヒツキ!カイト!僕にもできたよ!!!」

カイトは満足げに頷いた。

「上出来だ。こうやって、生きるための知恵をつけていけ。」
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