第1章 目覚め
その後、私はパイロと一緒にお風呂に入った。
久しぶりにお湯に浸かり、体を洗えることが本当に嬉しくて、心も少し軽くなった。
けれど、パイロの顔が少し曇っているのが気になった。
普段の彼なら、こんなに無言でいることはないのに。私は思わず、背中を洗いながら声をかけた。
「どうしたの、パイロ?」
「…本当にハンターになりたいの?」と、パイロが小さな声で言った。
その声には、たくさんの想いが込められているのがわかった。いつも優しくて穏やかな彼が、こんなにも不安そうな顔をしていることが、胸に深く突き刺さる。
私はしばらく黙ってから、ゆっくりと答えた。
「うん。」
パイロの顔に、少し驚いたような表情が浮かぶ。
「僕は…、ハンターのことは何となく知ってる。危険な職業なんだよ…?」
その言葉には、パイロの心の中で渦巻く不安が隠しきれずに現れていた。
私は手を止め、パイロを見つめた。
「ヒツキに危険な目にあって欲しくないよ…。」
彼の気持ちがひしひしと伝わってきて、胸が苦しくなる。
私は背中を洗い終わったあと、パイロに優しく声をかけた。
「こっち来て。」と言って、湯船に一緒に浸かるように手を引いた。
温かいお湯に身を委ね、二人だけの静かな時間が流れる。
「もちろん、パイロの村を襲った奴らを捕まえたいし、自分のことも知りたい。だけど、それだけじゃなくて…」言葉が少しだけ震えた。
「クラピカ、だっけ。パイロの親友。彼は旅に出てたから、きっと生きてるでしょ?」
私はそう聞いてみた。
「うん…」と、パイロが答えると、その声の奥に強い想いが込められているのを感じた。
「もし、ハンターになれば、その人に会う手段も増えると思う。クラピカが、パイロの唯一の同胞なら、私は彼とパイロを会わせてあげたいんだ。」
「僕のため…?」
パイロは、少し驚いた顔をして、そしてゆっくりと私を見つめた。その視線に、私の胸がさらに痛む。
「今、私にできることはそれくらいだから。」
その時、パイロの目に涙が溜まっているのを見て、私は驚いた。
彼は口を開こうとして、何かを言いかけたが、結局言葉にできず、ただ静かに俯いていた。