• テキストサイズ

月の祈り

第1章 目覚め


その後、私はパイロと一緒にお風呂に入った。

久しぶりにお湯に浸かり、体を洗えることが本当に嬉しくて、心も少し軽くなった。

けれど、パイロの顔が少し曇っているのが気になった。

普段の彼なら、こんなに無言でいることはないのに。私は思わず、背中を洗いながら声をかけた。

「どうしたの、パイロ?」

「…本当にハンターになりたいの?」と、パイロが小さな声で言った。

その声には、たくさんの想いが込められているのがわかった。いつも優しくて穏やかな彼が、こんなにも不安そうな顔をしていることが、胸に深く突き刺さる。

私はしばらく黙ってから、ゆっくりと答えた。

「うん。」

パイロの顔に、少し驚いたような表情が浮かぶ。

「僕は…、ハンターのことは何となく知ってる。危険な職業なんだよ…?」

その言葉には、パイロの心の中で渦巻く不安が隠しきれずに現れていた。

私は手を止め、パイロを見つめた。

「ヒツキに危険な目にあって欲しくないよ…。」

彼の気持ちがひしひしと伝わってきて、胸が苦しくなる。

私は背中を洗い終わったあと、パイロに優しく声をかけた。

「こっち来て。」と言って、湯船に一緒に浸かるように手を引いた。

温かいお湯に身を委ね、二人だけの静かな時間が流れる。

「もちろん、パイロの村を襲った奴らを捕まえたいし、自分のことも知りたい。だけど、それだけじゃなくて…」言葉が少しだけ震えた。

「クラピカ、だっけ。パイロの親友。彼は旅に出てたから、きっと生きてるでしょ?」

私はそう聞いてみた。

「うん…」と、パイロが答えると、その声の奥に強い想いが込められているのを感じた。

「もし、ハンターになれば、その人に会う手段も増えると思う。クラピカが、パイロの唯一の同胞なら、私は彼とパイロを会わせてあげたいんだ。」

「僕のため…?」

パイロは、少し驚いた顔をして、そしてゆっくりと私を見つめた。その視線に、私の胸がさらに痛む。

「今、私にできることはそれくらいだから。」

その時、パイロの目に涙が溜まっているのを見て、私は驚いた。

彼は口を開こうとして、何かを言いかけたが、結局言葉にできず、ただ静かに俯いていた。
/ 46ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp