第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
レギュラーとしてコートに立つことを任された、そのチームのPF。
それが、8番を与えられた選手の宿命。
責任を持って、絶対に成し遂げなければならない選手としての役割が、そこにはあるんだ。
私にもある。
この全国大会で…その一戦一戦で、全うしなければならないチームから託された役割ってものが。
だから、疑う余地もなくあったのだろう。
目の前にいる、この人にも。
私とこの人の違いといえば、恐らく年齢だけだ。
だから、他は同じように…
同じように、全国大会の準決勝まで上り詰めたチームのPFで。
同じように、仲間たちから任された役割と言うものがあって。
同じように、「チームを勝利に導くのは自分だ」と疑うこともなくて。
私と、全く同じように…
準決(ここ)で終わってしまうなんて、考えているわけがなかったんだ。
行きたかっただろう…決勝の舞台へ。
でも、ちょっと思考を変えてみて、良い方に考えてみたらどうなるだろうか?
例えば…
“全中”と言う枠に、とらわれずに考えてみたら?
“バスケ”というスポーツは、何も“全中”という場所でしかプレイを許されていないわけではない。
選手には各々、“バスケを始めたルーツ”と言うものがある。
それを大切にしさえすれば、バスケを勝利と敗北に括り付けずとも、プレイする道がきっと開けるはずだ。
・・
ここで全てが終わってしまった、なんてことはないんだから。
だからこれから先も、試合に敗れた選手たちのバスケ人生は、問題なく続いていくことだろう。
しかし…
取り返しのつかないものと言うものは、この世には一定数存在する。
その事実に、私は気づかないわけにはいかなかったんだ。
唐突に、そしてこんなにも近くに、同じポジションを担っている選手が現れてしまったのだから。
目の前にいる、この人の揺れる瞳を覗き込んだ時。
私は初めて、思い知らされた。
「あぁ、終わってしまったんだなぁ。
この人の…
PFとしての、役割と言うものは。」と…