第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
その時、紗恵が相手選手のうちの一人と盛り上がっているのとほぼ同時。
私たちの周辺には、不自然にカメラのシャッター音が響いていた。
カメラと言うのは、あれだ。
本格的なやつでは全くなくて、ケータイにデフォルトで付いている簡易カメラだ。
だから試合会場の一角で、いきなりスポーツ記者の選手に対する電撃インタビューが始まったわけではないことは、誰にでも分かる。
では、なぜそんな事態になっているのか。
それは、この場で最も異彩を放っている、ウチの背高のっぽを見れば一目瞭然だろう。
詩織は、未だ懲りず相手チームのキャプテンを担ぎ、さっきまで視界を奪われ挙動不審になっていたにもかかわらず、
「いぇ~い!
ピースピース~!!」
と、今度は自らに向けられたカメラのレンズに向かって、意気揚々とピースサインをキメているんだ。
いや、正しく言うと詩織に向けられたレンズ、ではなく。
その肩に乗っている相手チームのキャプテンに向けられたレンズ、と言う方が正しいのだろう。
記念写真のつもりなのだろうか?
私の目の前で、いつの間にか撮影会が始まっていたのだ。
被写体の前には、相手チームの選手のほか、
「先輩たちガチ面白いっスね!!
ホント最高っスよ!!」
と、謎に自分のケータイを掲げ、自らも撮影会に参加する史奈の姿があった。
そんなカメラマンの増加に釣られ、ヒートアップする相手チームのキャプテン。
詩織の肩の上にも関わらず、ジャージのポケットからケータイを取り出すその姿から「自分のケータイにも納めたい」という心情が手に取るように理解できた。
そしてそのケータイを、
「ねぇねぇお団子ちゃん!
私のでも撮ってくれる?!」
と、一番近くに居たであろう愛華に向かって差し出した。
それを前にして愛華は、
「し…仕方ないですね…」
と、少々恥ずかしそうに…というより、なぜか嬉しそうに答え。
キャプテンの手の中からケータイを受け取ろうとした。
すると…
「「 ダメ!! 」」