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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


それに対してこの人たちは、今日一日だけで失うものがあまりにも多すぎた。


“決勝への出場権”と、“経験値獲得のチャンス”。
奪われるだけ奪われてしまったんだ、私たちに。


だからもし…もしだ。

         ・・・・・・・
もし、今日の準決が強者同士の争いだったならば…


何もかも、違ったのかもしれない。


満ち足りている者同士。
実力のある者同士。
そんな戦いになっていたのなら。


この人たちも、“点”以外の何かを得られたのではないか?
私たちが、強者を前にそうだったように。


過去の自分より、少しだけ理想の“強い自分”に、なれたのかもしれない。
それが、強者同士であったなら…


でもそうじゃないだろ、私たちは。


私たちは、いわば発展途上。
試合の実績から“恩恵”を受けてばかりの、“乾いたスポンジ(弱者)”だ。


弱者が強者から教わることは山ほどあるだろう。
しかし、弱者である私たちに、強者に与えられるものは何もない。


与えていいほど、多くのものは持っていない。


現に私も、今は自分が成長するので精一杯だ。
強者に教えを乞い、育てられる存在である私が、誰かに教え、育てることなど出来るわけがない。


今までだってそうだった。
これまで、私と争ってくれた過去の対戦相手のために。
そして、今日戦ってくれた、この人たちのために。


私は、何もしてやれない。


…と、そう思っていた。

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