第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
近くに来るまで気づかなかった、ということもあるけれど、誤魔化しは上手いと思った。
けれどそこから、ロッカールームで肩を抱き合いながら泣いている情景が、私には容易く想像できてしまう。
悔しくない、はずはない。
なのに、だ…
なのにどうして、こうやって私たちに向かって笑ってくれているのだろう?
さっきまで涙を流していたのに、どうして自分を負かした相手に、尊敬の意を表すことができる?
私には、それがどうしても分からなかった。
そしてそれを理解しない限り、私たちは、この人たちのような強豪校のチームには、絶対なれないということを知っていた。
“技術”以外の、もう一つの面を。
対戦相手への、“尊敬”や“称賛”を。
私には、理解する義務があると。
そもそも“技術”の方ですら、私に理解出来ているとは思えないけどな。
けれどこの人たちは違う。
強豪校ということもあって、この人たちは紛れもなく強い。
それは本人たちも理解しているはずだ。
おまけに、今後私たちがいくら努力して手に入れても、絶対に追い越すことの出来ないものを、もう既に持っている。
それは、“経験値”だ。