第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
精一杯戦ったのは、私たちだけじゃない。
相手チームだって、出せる力は全て出し尽くした。
しかし、全国一位を決める勝負をする以上、そこには必ず勝敗が存在する。
残れるのは2校のうち1校だけ。
今回は、私たちがその勝利を掴んだんだ。
しかし、その反面。
目の前にいるこの人たちは、言わずもがな敗北した。
それが当たり前の摂理。
1校は当たり前に勝つことができるし。
方や、もう1校は当たり前に負ける。
さっきの試合で、勝利を手に入れたその瞬間。
私たち5人が何を思っていたか。
誰に確認したわけでもない。
だとしても、真っ先に思うことは、きっと決まっている。
それは、“うれしい”だ。
そんな喜びの感情。
それもまた当たり前だ。
勝ったチームは、当たり前に嬉しいし。
負けたチームは、当たり前に悔しい。
そう…そうなんだ。
“くやしい”はずなんだ。
試合終了時に突き付けられる、相手チームより点を稼ぐことができなかったという事実。
そこから湧き上がる、後悔や苛立ち。
そんな悲しみの感情が。
それなのに、この人たちは笑っている。
私たちに向かって輝くほどの笑顔を向けて、楽しそうに。
悔しくない、はずはないのに。
それを目の当たりにした時。
私は、これまで物足りなさを感じていた、強豪校故の“何か”の、もう一つの面を見つけた。
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本物かそうじゃないかを隔て、かつ“技術”で代替えすることの出来ない、「きっと何かがあるはずだ」と信じて疑わなかったものの正体が。
それは、対戦相手への、
“尊敬”や“称賛”。