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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


2つのチームの間で、会話に花が咲き始めたのを後ろから見ながら、私は考えていた。


「あぁ、これがきっと。強豪たる所以なんだ」と…


別に“覚えたて”ってわけじゃない。
スポーツ界では当たり前のように使われるし、私もプレイヤーである以上、これまで何度も耳にしてきた。


文字に起こしたり、口に出すのに苦労は掛からない“強豪”という二文字。
しかしそれには、多くの意味が託されている。
端的なのに多くのことを物語っている。


だからこそ口にするに容易い。
それだけで、“言い表せること”があまりにも多過ぎるから。
そして私も、それだけで“言わんとしていること”が分かってしまうから。


口々に“強豪”と名乗る者たちのことを。
「自分は経験も実力も、他所とは別格の特別なプレイヤーなんだ」と、こちらに伝えたがっていると言うことを。
“強豪”という肩書を使うことで己を称していると言うことが、私には分かってしまう。


それは間違いではないし、仕方のないことだと思う。
なぜなら、“強豪”とさえ言えば、詳細を端折っても自分のことを表現できるから。


それは、事実なのかもしれない。


しかし、偽りじゃないにしても、“弱小じゃない”ってだけなのかもしれない。


よく“理想”と“現実”で例えられるのと同じように。
仮に“弱小”の対義語が“強豪”なのだとしたら。


日頃から多くの意味が託されている“強豪”が、“弱小”の対義語として使われるのも。
想像に難しくはない。


理由は明白だ。


“強豪”という言葉が、口にするに容易いから。

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