第6章 即ちそれ、“強豪”なる者たち
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
?「準決は聞いたことのない学校が相手って
聞いてたから、どんなチームかと思ったら…
強豪って言われても多分信じてたよ!」
?「それにそれに!!
“主力が2年生”って聞いてたからさ〜
人数不足な上、まぐれで勝ち進んだ
だけだと思ってたのに」
?「私たちに恨みを持った誰かが
無名校ってデマ流してきたのかと
思っちゃった!!」
相手チームの面々は、彼女たちのキャプテンを筆頭に、そんな風に口早に捲し立てていた。
全員が、瞳を輝かせた、中学生らしい華やかな表情で。
それは、良いことなんだと思う。
しかし、突如として姿を変えたその和やかな雰囲気に、私は少し拍子抜けしていた。
だから、その時湧き上がっていた“敵意”という凶器を、鞘に戻すつもりで…
肩にかけていたバッグの肩紐をなぞり、肩にかけ直して体勢を整えたんだ。
そんな、違和感のないありきたりな所作で、不相応な内情を中和させるように。
この用済みの“敵意”は、誰にバレることも許されないから。
だけど、即席の凶器如き、収めるのは簡単だった。
なぜなら、“事の真相”ってものが分かったから。
口には出さなかった「なるほどな」が、代わりに心にこだました。
さっき顔が険しかったのは、単に興奮して目がギンギンになっていただけなのか。
つまり、相手方には最初から悪意なんてこれっぽっちもなかった、と…
「だとしても目が血走るって、どんだけだよ」とか思うくらいなら、たぶん許されると思う。
だけど、この時の私はそれよりも、もっと重要なことに気づいてたんだ。
目の前に現れた、かつて敵だった面々のそんな姿を見て。
私は気持ちいいくらい、納得してしまったんだと思う。
「あぁ、これがきっと。強豪たる所以なんだ」と…