第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
いいじゃないか、認めてしまったって。
別にいいだろ、「私もそうだ」と言うくらい。
“ワクワクする”とか、“楽しくてしょうがない”とか。
2人が持っているそんな感情は、“選ばれた人間しか持てない”と言うにはこの世界に溢れ過ぎていて。
私の中にも、確かにあるんだ。
『だぁー!!もう分かったよ!!』
「この際だ。証明ついでに言ってしまおう」。
そう決めたのは、2人から解放されたいからなのかもしれない。
「「 んん~?何ぃ~?? 」」
でも少し。
そこにほんの少しだけ。
「私にも出来る。紗恵や詩織と同じ気持ちを共有することは、私にも出来る」って。
そう伝えたいのかもしれない、ということは、私が一番分かっていた。
『私も…バスケが出来て。楽し』
そうやって、自分で言うのも珍しく、せっかく決意まで固めたっていうのに。
2人に向けた、らしくもないセリフを言い切る代わりに、
『ゔげ…!』
再び、私の身体から変なこ…と言うか出過ぎだ。
「今度はなんだ?!」と、私に思わせる余裕も与えず、
「んだよお前ら!
さっきから楽しそうじゃねぇーか?!」
と言ったその声は、やはり私の真横から聞こえてきたんだ。
何もなければ、早々に詩織を疑うところ…なんだけど。
この状況で詩織に容疑をかけるのは、あまりにも無理がある。
なぜなら、依然として私の前から動かない、詩織のものと思われるその腕は。
今聞こえてきた声とは、逆の方に伸びていたから。
つまり、今回は詩織と紗恵の2人がいる方とは、真逆から声が聞こえてきた、ということ。
私から見て、もう一方の真横…
首をねじって、そちらの方に目線をやると…
やっぱり、よく知った顔がそこにいた。
超至近距離で私を見つめるそいつは…
さながら“コアラ”のように、私に抱き着いているんだ。
「新しい遊びか??
あたしも交ぜろよ!!」
『史奈(お前)もかよ?!!』