第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
背後から紗恵。
横から詩織が私の周囲を固め始める中。
その逆サイドを新たに攻めてきたのは、「自分にもやってみろ!」と左手を私に差し出してきてから、ずーっと放置していた史奈だった。
目線を変えたときに、史奈の顔が超ドアップで現れたときは。
いくら見慣れているとはいえ、流石にビビッてしまった。
あと、なぜかは分からないが、史奈はただ抱き着く紗恵や詩織とは違い。
その2本腕…だけでは飽き足らず、その両脚をも私の身体に回していた。
腰あたりに、やけにずっしりとした重量感を感じたため。
何かと思って視線を下げたら…
史奈の片足が、そこに巻き付いてるのが見えたんだ。
まんま、“コアラ”だった。
しかも、史奈が抱き着いてきたことで加わった変化は、それだけじゃなくて。
「『 い"ぃーっててててて!!!! 』」
私の肩に加わる痛みも…大きくなったんだ。
そして、それと同等の痛みを感じているためか。
私と揃って声を上げているそいつに、私は、
『おい紗恵!お前顎!顎が深く…!!』
と、叫んだ。
「早々に退け!」という意味を込めて…