第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
私に巻き付く計4本の腕…
詩織の腕は、一本は相変わらず私の視界を妨害する位置にあって、もう一本は紗恵を挟んで私に巻き付いている。
紗恵の腕は、私を後ろから抱きしめるようにピッタリと巻き付いていた。
私と紗恵は、元々体格にそれほど差はない。
紗恵の方が、気持ち小さいくらいだ。
そんなやつが後ろから…
しかも“ピッタリ”とくっついたりしたら…
そいつは、前にいるやつの後頭部との接触を避けるために、どちらかの肩から顔を出す羽目になる…
そんなことを、紗恵がしようもんなら、
「さすがウチのチームメイト~!
愛が深いねぇ~♡」
『うっせぇーんだよ黙れ!』
無防備な私の耳が。
またしても危機に晒されることに。
でも、“うるさい”だけならまだいい。
“別にいいや”と思うくらいには許せる。
けれど今回は…
『あとお前の顎が痛ぇ!!』
「なんか引っかかったぁ~」
『“引っかかった”じゃねぇーよ離れろよ!!』