• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第5章 栄光の目前  〜決勝トーナメント準決勝〜


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


ここにいた。
“明らかな原因”。


本来、痛いはずがない詩織の抱擁。
しかしそれは、紗恵という別の存在が介入した途端に覆ってしまった。


そういう紗恵も、悪意とか悪気とか、そんなものは全くなくて。
寧ろ巻き込まれ事故にあった被害者と言った方が近いんだろう。


それでも、紗恵が顔をのぞかせている方の肩は…


真後ろにいる紗恵の顎が、これでもかと刺さっているんだ。


「ウチだって天の肩で顎痛いんだよ~?
 お互い様だから我慢して~?」

『喋んなって!お前が口開くと
 うるせぇーし痛ぇーんだよ!!』


そう、この状況は見た目以上に危険だ。
おかしな話だし、恐らく二度と聞かない話だと思う。


けれど、“口を開く”という至極当たり前の所作でも、今の紗恵なら二重で私に攻撃することが出来る。
チームメイトの“声”と“顎”が致命傷とか。
後世に語り継いだりでもしたら、とんだ笑いもんだ。


だけど、私が何を言おうとも、


「だって詩織がギュッ!ってするんだもーん!
 あぁ~いってぇ~喋りづれぇ~」


紗恵はいつも通り、アハハッ!!と笑うだけで、まともに聞きやしない。


やっぱりうるさい。
あと痛い。


『つか詩織も退けよ流石に?!!』

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp