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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第5章 栄光の目前  〜決勝トーナメント準決勝〜


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


それは、試合終了直後のコートの上で起こったことだった。


チームメイトに対する飛び掛かり。
一方的な上げ足取り。
からの一触即発。


その全てが、全国の試合会場で繰り広げられたことで。
そして同時に、私の身に起こったことだ。


全国の地に降り立った、私と。
私たちの物語だ。
側から見たら…いや、そうでなくとも異様かもしれない。


それでも、これが私たちのいつもの光景。
うんざりしても、いくら溜息を吐いても。
「あのチーム何やってんだ」と思われたとしても、私たちの当たり前は壊せない。


そして、そんな“異様”とも“日常”とも言いようがある光景に。
また新たな人影…新しい声が加わった。


「史奈、チームメートを妬むな。
 紗恵、馬鹿をエンタメにすんなって言ってるだろ。
 それと、詩織!天からいい加減離れろ!」


口調からも、その言葉からも、知性と真面目さを感じさせるその声は。
入り乱れてカオスと化した私たちの均衡を、いい意味で取り壊した。
つまり、騒動をおさめたということ。


全ての最後には、こんな私たちをしっかりまとめてくれるやつがいる。
ここまでの流れが、私たち“チーム”だ。


その証拠に、詩織は不満そうに「えぇ〜…」と言いながらも、私の首周辺に回した腕を離した。
その瞬間、体感温度の急低下を身をもって感じた。


その時吸い込んだ会場の空気が、内側から…
そして外側からも、私の喉と身体を冷やしていく。


内側の熱を呼吸を利用して逃すついでに、思わず「はぁ…」と、深く大きく溜息をつく。


『助かった…』

「天、凄かったぜ。
 さすがうちのエース様」


その声に、開けた視界が自然と下を見る。
無意識に…だけどこれは、きっと“この声だから”そうなるんだろう。
それだけは分かっていた。


下げた視線の先には、先程、私から離れるようにと詩織を諭した人物…


愛華がいて、私に向かって左手を差し伸べていた。


それを見て、私は、


『あぁ、ありがとう。』


そう言って、自分も倣うように左手を差し出した。
愛華(こいつ)が、私たちの…


『キャプテン』

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