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宵闇の明けと想ふは君だけと〈中学編〉

第5章 栄光の目前  〜決勝トーナメント準決勝〜


●藤堂 天● 〜東京体育館〜


第4クォーターは確実に進み。
試合時間も残り1分を過ぎた頃…


?「っしゃぁー!!」

?「いいぞナイシュ!!」

?「止めてもう1回決めんぞ!!」


相手チームに点数が入り、私たちのボールで試合が再開しようとしていた。


シュパッ!と音を立てて、自陣のゴールに相手のシュートが決まった、その瞬間。
試合終了間近の会場の雰囲気で気づいていた。


追加点が決まったその瞬間。
相手チームは試合のHeroとなったことを。


点差的に突き放され。
打ちひしがれても尚、試合終了のその時まで決して諦めない。
そして、確かに追加点を獲得したことで、それは無駄ではなかったと言うことを証明してみせた。


思い当たるだけでも、ここまで“要素”があるんだ。
Heroにならない方がおかしい。


逆襲の到来と共に、垣間見えた希望の光。
確実に会場がヒートアップしている。


直前のプレイでチーム全体の士気が高まり、「次も確実に決めてやると」駆け出した相手チームに、会場中の視線が集まる。
ここが映画のワンシーンなんだとしたら、コート上の選手や、その関係者たちの顔が映し出される、確実に作品随一の見せ場となっているのだろう。


その一方。
見せ場を奪われ、フレームアウトしたHeel(ヒール)の私たち。
カットの枠にも入れなかった私たちは、その外側で何をしているのか。
おそらく気にも留められない。


映画であれば、Heroが活躍し出したらHeelはもうなす術はない。
悪が蔓延り、絶望的だった戦況が、幾多の試練を乗り越えてきた戦士たちの手によって覆るんだ。
見ている側からしたら、アドレナリンの放出は尋常じゃないだろう。


しかし、ここは小説や映画の中で繰り広げられる世界じゃない。


物語は常に重なり合って出来ている。
表ばかりを見ていたら、裏の存在を忘れてしまうだろう。


だから教えてやるよ。
アンタらが見逃した、裏(私たち)の物語のことを。

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