第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
・・・・・
「以上をブーケではなくバスケットで」
『おいあんま調子乗んなよ!
注文が多いんだよ!!』
そう言って、花はいいとして“バスケット”を撤回させようとした。
しかし、愛華はそれよりも先に、
「だってよ、対戦校ならまだしも…」
『は?』
そう続けた愛華の言葉に、私が一抹の不安を感じたのは言うまでもない。
…コイツもしかして。
今からとんでもないこと口走ろうとしてんじゃねぇーか?
そして、その予想は運悪く当たってしまうことになる。
『チームメイトからもいじられるとか
さすがに泣くぞ…?」
『おい誰だ!愛華の地雷踏んだやつ!!
ベンチか?!!』
そう言って、矛先を愛華から他の連中に移した。
愛華がバスケットを要求してきたのも、納得してしまうくらいには緊急事態だ。
結果、何が言いたいかと言えば…
愛華(こいつ)の禁句に一度触れれば。
たぶん一生恨まれるってことだ。
『こりゃ奮発して“良いやつ”買わねぇーと
治らねぇーパターンだぞ!!』
ただでさえ愛華の機嫌を持ち直すのは骨が折れるって言うのに、事態が悪化したらその分私(こっち)にかかる負担が倍増するんだ。
いくら手っ取り早く気を引けるからって、花だってそう安くはない。
しかも要望の“バスケット”となると、中学生の私にはポンと出せる額ではないことは、経験から既に分かっていた。
だから…
『後で花代全員に均等に請求すっからな?!!』
「「 んでだよ?!! 」」
私の財布事情が、チームメイトの機嫌に左右されるのは。
もう懲り懲りなんだよ…
第4クォーター、残り2分05秒。