第5章 栄光の目前 〜決勝トーナメント準決勝〜
●藤堂 天● 〜東京体育館〜
「ここぞって時のシュートってなると
ほんと得点にがめついんだから~♪」
「ほんとほんと!!」
確かにあいつらは私とは違うんだろうけど、“冷静じゃない”のとはちょっと違う。
勝機に対して愚直に喜べるってだけだ、詩織と紗恵、あと史奈は。
それがたまに羨ましくなる。
そんな2人に囲まれた史奈は、どこか腑に落ちないという表情で、珍しく眉間に皺を寄せながら首を傾げていた。
「それ褒めてるのか?」
「「 褒めてる褒めてる 」」
史奈の問いに、口を揃えて答える紗恵と詩織。
それを聞いた史奈の、さっきまでの曇り顔はどこへやら。
「だったらいいや!」と満面の笑みを浮かべている。
あの顔は私もよく知っている
史奈が満足した時の顔だ。
それで本当に満足してくれたのなら、私も本望だ。
ある意味で。
「お前らディフェンス!!」
仲間の雄姿を讃えていつの間にか輪を作っていた3人と、それを外から眺めていた私の元に。
“次の指示”と取れる言葉が、キャプテンの声で届いた。
「まだタイマー止まってねぇーんだからな!
気ぃ抜くんじゃねーぞ!!」
キャプテンは続けて私たちを鼓舞してきたが、それを言い切るよりも先に、私たちは自陣へと戻るために駆け出していた。
大丈夫。
私らのモチベは保てている。
全体の雰囲気も悪くない。
多少驕ったとしても、私たちは絶対に負けない。
大丈夫じゃないことがあるとしたら…
「おい天!!」
ほら来た。
満足したんじゃねーのかよ。