【ヒロアカ】change the truth【R18】
第5章 個性
根津校長は、再び顎に手を当てて少し考える素振りを見せた後、柔らかな口調で言った。
「これからのことを考えても、一旦君の個性について調べてもらった方がいいね。記憶がないということなら、どんな個性を持っているかも分からないだろうし、何かトラブルがあってからでは遅いからさ」
俺もそれには同感だ。正直、自分の感情のまま、こいつをここまで連れてきてしまった部分がある。記憶喪失だという話を鵜呑みにするには怪しい点も多い。
仮に記憶喪失が事実ならなおさら、まずは個性がなんなのかをはっきりさせるべきだ。知らないままでは、万が一の時に対処が遅れる。
「そうだ。個性の検査設備が整っている病院があるから、まずそこで君のことを詳しく調べてもらおう。その結果を見て、これからどうするか考えようじゃないか」
根津校長の提案に、俺は即座に従おうと考えた。だが、ふと気づく。
(そうだ......俺には今日授業があったじゃないか)
授業のことが頭の中から消えていたことに、我ながら呆れる。教師として本来優先すべきことを忘れるなんて失態だ。
「今日の俺の授業はどうしますか?」
尋ねると、根津校長はにこりと笑って肩をすくめた。
「それは心配いらないよ。他の先生に代わってもらうから、君は彼女を病院に連れていってきてくれ」
俺が考えていることも校長は気づいているようだった。いつもと違う俺に面白さを感じているのだろう。
教師として本分を忘れかけていた自分が、情けなかった。