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【暇潰し】R18/Short Story【進撃】

第4章 VI * アルミン・アルレルト


地平線が土煙をあげていた。

目を凝らして見つめると十数頭、はたまた数十頭の馬が確認できた。

『……人が乗ってる!』

しかし無情にも馬の大群は左右にばらけてしまった。

はエコバッグから値引きされていたから何となく買ってしまった、用途不明のものを急いで取り出した。
袋から数本取出て、一緒に購入したライターで火を点けた。
自分に降りかかる火の粉を気にしている暇はない。

ロケット花火はヒューンっと音を立てて勢い良く空に舞い上がり、乾いた破裂音をさせて空を小さく煙らせた。
そして緊張感のない小さなパラシュートが、風に乗ってゆるゆると落下する。

『…気付いてよ…、お願い…』

馬の進行は一斉に止まった。
しかし様子を伺っているようで、此方に向かってくるかはわからない。

もう一度、ロケット花火を数本取り出して、空へと放った。

『お願い、お願いだから…』

このまま救助がこなければ、そう思うと焦燥感に襲われた。

『……助けて』

消え入りそうな呟く声に答えるように、緑色の煙が空高く放物線を描きながら、のいる方向へと流れてきた。
馬の大群は左右正面と、3手に別れて向かってくる。

『来てくれた!!』

距離が縮むにつれて、騎乗している人達の容姿が明らかになってきた。
大きなカッターナイフのような物を両手に持ち、両足には長方形の鈍色の箱を装着していた。

『はじめて見た…』

騎乗していた数人が、空を飛んだかと思うと樹に飛び移ってきた。
謎の生き物達は、散り散りに馬を追いかけている。
そして大きなカッターナイフで斬りつけられは、次々に蒸気を上げて消えていった。

目の前で繰り広げられる惨状、現実では見たことがない。
どうか夢で、悪夢なら早く目覚めさせてくれと神様に祈った。
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