第8章 今後の事
ROUND6を終えた翌日の2月23日、私は東さんに呼び出され作戦室で東さんの目の前に座り話が切り出されるのを待っていた。何かやらかしてしまったのだろうかと不安に思ったが、何度思い返しても心当たりが無さすぎる。
東「急に呼び出して悪いな」
『いえ…それで話というのは?』
東「そんな固くならなくてもいい。個人面談みたいなやつだ。簡単に言えば、お前が今後どうしたいかってことを聞きたい」
『今後…ですか』
東「ああ。もうすぐランク戦も終わるし、終わった後のことをそろそろ考えてもいいだろ。この隊に残るか、二宮にまた直談判するか、風間隊に戻るか」
『私は…狙撃手としてまだまだ未熟ですし、正直才能は無いと思います。二宮隊の力になりたい、そう思うのもおこがましいレベルです』
『でも、今更風間隊に戻るのも………最近はスコーピオン握ってないですし、狙撃の動きと思考が体に染み付いた不純物をあの隊に持ち込んでも、昔みたいに行かず足でまといになるし…なにより、申し訳ないです』
私がそこまで言えば、穏やかな顔で聞いていた東さんが口を開いた。
東「お前の考えはわかった。でもな美晴、1番大事なのは自分が1番何をしたいかだ。二宮隊に入りたい、でも狙撃が心配…それなら攻撃手として自分を売りに行けばいい。お前が本気なら俺からも二宮に話はできるしな」
東「風間隊に戻るとして、攻撃手のブランクと申し訳ないって気持ちが邪魔してるなら、残りのランク戦は攻撃手として動いてもいい。奥寺たちもお前の好きにしていいと言っていた。最後に、申し訳ないと思う必要は無い。風間は戻りたければいつでも戻ってこいと言っていたしな」
『…ほんと、私は周りに恵まれてますね。いいんでしょうか、だって私…皆に迷惑を掛けた人の妹なのに。東さんにも、姉の師匠ってことで少なからず迷惑をかけたはず』
東「はは、俺は別に何も無かったから気にすんな。それに、鳩原とお前は違う。姉妹だからってそんなに責任を感じる必要は無い。お前の人生だ、やりたいように好きに生きろ」
『はい…ありがとうございます…あの、今後の話は、少し考えさせてください』
東「ああ、時間取らせて悪かったな」
ジン…と熱くなった目を隠すように話を切り上げて、足早に作戦室から出る。攻撃手か狙撃手か、風間隊か二宮隊か、選択する日はいつの間にか近づいていた。
