第11章 10
「え?知ってたよ?快斗がゆりのこと溺愛してるって」
カフェに一緒に来ている青子がジュースをチューチュー飲みながらそう言う
「てっきり私は青子と快斗がって」
(溺愛)と言う言葉に恥ずかしさを振り払いながら言った
「ねえ。それ前にも言ってたけどさ。そんな事あるわけないじゃない!快斗ってば子供の頃からいつも青子とゆりの取り合いして喧嘩してたんだよ?知らなかったの?」
なんだそりゃと思いながら少しずっこける
「それにしても……最初はゆり、別の彼氏できて快斗良い気味って普段からセクハラ行為ばっかりしてるせいよ!って思ってたけど」
「う、うん」
「ついにくっついちゃったかー!……青子邪魔者かな?」
悲しそうに言う青子の手を思わず握る
だってちょっと前に私が思ってた気持ちに良く似ている気がしたから
快斗の事が好きな事を抜きにしても、もし快斗と青子が付き合ってたら私も邪魔者は退散!なんて思ってしまうかもしれない
「私は快斗とは種類が違うけど、青子の事誰よりも大好きだよ!だからそんな事言わないで!!」
ガバっ
「私もだよー!!これからもずっと一緒だよ!快斗なんか今日はほっといて私と遊ぼっ!」
「なーにがほっといて。だ!」
抱き合ってる私達の目の前にドサっと座るのは突然現れた快斗
「あおこぉー。お前なぁ。ちったぁ遠慮ってのしろよなー」
頬に手をついてジトーっとこちらを睨みつける
「なんで青子が快斗に遠慮なんかしないといけないのよ!!大体!私のゆりなんだから!快斗なんかに独り占めなんてさせないよーだ!」
べぇー!と舌をだしてあっかんべーをする青子
(こんにゃろー!)と言いながら言い合いをし始める2人を見ながらアイスコーヒーをチューと吸う
以前の私はこんな姿を見て羨ましさと嫉妬でぐるぐるしていた
でも今は穏やかにこの光景も見ている事が出来る