第10章 9.5
そしてゆりの学校の門で会った男を思い出してまた少しイライラする
あいつもこの唇に触れたかと思うとますますイライラが増幅して
あの時ゆりが先に行ってしまい、追いかけようとした
「ちょっと待って」
そう呼び止められて不服にも止まるしかない
「なんすか」
「勘違いだったら悪いんだけど………ゆりちゃんを悩ませないで」
「…………」
なんでこいつにそんな事
「好きなんだよ。彼女のこと」
「は?」
ふざけんなよ
誰がテメェなんかに渡すかってんだ
「だから、なんか悩んでんのかな?って。…その原因が君ならって思ったんだけど」
ヘラっと笑うこいつにポーカーフェイスで見る
「ご忠告どうも。でももうこれ以上はこちらのステージなので」
お前の宝石箱なんかにはぜってぇ入れさせねーよ
はぁ。とため息をつきながら眠りこけるゆりを横目に床にドサっと座り見る
「オメェなんでそんなに無防備なんだよ」
今日のナンパだってそうだ
もっと露出の少ないドレスにさせるべきだった
14の時に言われた「好き」って言葉は俺にとっては青天の霹靂だった
だってよー。まさか両思いとは思ってなくって
毎回渡す花束の意味もわかってねぇーくせに
しかも(返事はしないで)とか言いやがるし
それから少しずつ態度が変わっていって、何故か俺と青子をくっつけさせようとしているのか
3人で会うこともなくなり
ゆりは俺の感情は置いてけぼりで2歩も3歩も先を歩いてる様な気がした