第10章 9.5
ゆりを抱えてタクシーから降りる
あの後ゆりは飲酒のせいかすっかり眠りこけてしまって
いまだに眠り姫を続けている
ピンポーン
「はーい!……あ!快斗くん?!」
インターホン越しにゆりを抱えてるのを気付いたらしく慌てて扉を開けるのはゆりの母親(あいママ)
ガチャ
「やだっ!ゆりったら!どうしちゃったの?!」
「遅くなってしまってすみません。ゆり車で寝ちゃって、、、良かったらこのまま運ぶんですけど」
適当な理由をつけてそう言うとあいママは少し考えた後俺を招き入れてくれて
「快斗くん」
階段を登ってゆりの部屋へ向かおうとした時呼び止められた
「ゆりとは……仲直りできたの?」
「ご心配かけてすみません」
ニコッと笑って返す
「快斗くん、あのね、ゆりを泣かせるなとは言わないけど、、、ちゃんと拭うことを忘れないで」
困った様な顔をしながらそう言うあいママに(わかりました)と返して階段を登り切る
母親にはバレちまうもんだよな
涙の後が残るゆりの寝顔をチラと見ながら部屋の扉を開けてそっとベッドに降ろす
顔にかかっていた髪をそっとどけてやり頬を優しく撫でると少しくすぐったかったのかもぞもぞ動くのをフッと笑って見つめた