第9章 9
連れていかれる間際、快斗は私の肩に手をかけそっと耳打ちをしてきた
『それ、ノンアルコールだろ?ゆり、おめぇ酒と男に気をつけろよ?』
『そうだけど、なに?どういうこと?』
『今日のお前はとびきりキュートだからよ。ナンパされんじゃねーぞ」
頭にチュッとわざとリップ音を鳴らしてキスをして出て行く快斗
私はそんな快斗の行動にありえないくらい真っ赤になった顔を両手で隠した
「旦那様に大切にされてるんですね」
バーテンダーに新しいカクテルをすっと出されて早く顔を冷ましたくてそれをくっと飲み込んだが次第にだんだん気持ちが良くなるのがわかった
「あれ、これノンアルコールじゃな、い?」
「えぇ。とっても飲みやすいカクテルです。その代わり
貴方みたいな女性は直ぐに気持ちよくなってしまうでしょうね」
そう言ってニヤッと笑いながら私の隣に座ってきたおじさんがあいてる背中をツツーと触ってきた
一気にゾワゾワして気持ちが悪い
立ち上がってトイレに逃げ込もうとしたが手首を掴まれた
「ご主人がいない間私たちも楽しみましょうや」
ニタニタ笑って引き寄せようとするおじさんを振り解き快斗が向かったシークレットルームに飛び込むとちょうど快斗とハスラーが勝負をしているところだった
目が合う私達
快斗はすごく驚いた顔をしていたがすぐにポーカーフェイスにいつもの不敵な笑みを浮かべていた
「どうしました?ゆりさん!」
焦ったジーちゃんの様子に(ごめんなさい)とだけ言って戦況を聞くとどうやら快斗の分が悪いみたい
酔った勢いとさっきまでおじさんに触られてたからか一刻も早く快斗に触れたくて近づくと人差し指で脇腹を軽く突いた
「な、なんだよ」
「私今おっさんにナンパされたの。さっさと終わらせてこないから、だから」
『はやくして』と囁いた
さっきのを思い出してゾワッとして鳥肌が立ったので両手で自分を抱きしめる