第8章 8
「…………快斗?、、あの、もう大丈夫。だから、離して?」
そっと胸を押して離れようとするがびくともしない
「衣装汚れちゃう」
「離さねーよ」
「え?」
ちょっと震えた低い声
「離したらおめぇ、いっちまうだろ」
「いくって?」
「だから……違う男のところへ」
光くん?
なんで今その話?
「ど、どうして?」
「………わかれよ!!たくっ!」
そう言って暫くした後私から離れてその場で跪く、そして私の手を取り甲にそっとキスを一つする
思わずドキッとする
「快斗、なんで、、、「今宵は!!夜の僅かなひと時を私と過ごしていただきたい。麗しいあなたの時間を盗みにまいりました」
不敵に笑う快斗に思わず無言で頷くとさっと抱きかかえられる
「へっ?!ちょっと!」
「ちゃんと捕まってろよ!」
いつもの笑い方に戻りそのままベランダへ出てバッと飛び降り夜空へ駆け巡る
一瞬の浮遊感に包まれてギュッと快斗にしがみつき目を閉じて胸に顔を埋めて居ると(ゆり、見てみろよ)と言う声が上から聞こえてそっと顔をあげて空を見る
「わぁぁぁぁ!!すごい!!」
かなり上空にいるのか車のライトやビルの灯りがまるでイルミネーションの様にキラキラ輝いて見える
「だろ?一度見せたかったんだ」
イタズラが成功した時の顔をしながらそう言う快斗は灯りに照らされてキラキラ輝いて見えた
「………ありがとう、快斗。、、私もっと強くなるね」
「充分つぇーよ」
「え?」
風の音でよく聞こえなかった
「なんでもねぇー」