第6章 6
「それで?デートはいかがでしたか?」
バイト中、カウンターに誰も座ってないタイミングでジーちゃんからそんな事を聞かれた
「うーん。まぁ楽しかったかな?」
グラスをピカピカに磨きながらそう言うと(さようで)と返ってきた
「ゆりさん、若い頃に色んな経験をして沢山の人と出会うのはとても良いことです。人を見る目が養えますからな。でも偽りの眼差しでこちらから見てしまえば本当に大切なものも失いかねません。どうかご自身を大切に。年寄りの戯言なので気にせず楽しんでください」
アルバイトを始めてからジーちゃんにはお嬢様はやめてね、と言った
それでもじーちゃんは私を孫の様に可愛がってくれてるのはなんとなくわかる
「ありがとう。ちゃーんと胸に届いてるよ」
本当にありがとう
ジーちゃんには言ってないけど
快斗への想いはきっとバレてる
だからこそ私は笑顔を貼り付けて[大丈夫]と言い聞かせるしかないのだ
バイトを終えて家に帰る途中
スマホに光さんからメッセージが届いていた
[今日は来てくれてありがとう!次はどこに行く?ゆりちゃんの行きたい場所ね!]
今日で大分打ち解けた私達
光さんはとても紳士的できっと誰にも恋してない状態で出会えばすぐに好きになっていただろう
[こちらこそありがとう!行きたい場所リストアップして送るね!]
展示会が面白かったので次も同じ様な場所にしないか?と提案されたので調べてみないとなと思った