第5章 5
「それで、なんですかな。私に出来ることがあれば良いのですが」
穏やかに言うジーちゃんに
「私をバイトとして雇ってくれない?」
「はい?」
「ジーちゃん、、、今からする話は他言無用ね
私、ほんの少しなんだけど盗一パパが何してたか知ってるの」
大きく目を見開き固まるジーちゃん
そして苦虫を噛み潰したような顔して(一体なんのことでしょう)と誤魔化しきれない返事
「あとね、、ほんの少しなんだけど、、、、この先も知ってるの。あなたがそれを引き継ごうとしていることもね」
出してくれた温かいコーヒーをフーフーと冷ましながら言うとガタッと何かに足が当たる音がした
「一体なぜ…あなた、本当にゆりお嬢様ですか?」
「残念ながら……ジーちゃんの知ってる神崎ゆりよ、、ねぇ。あなたのアリバイ工作に協力させて欲しいの」
肘をついて手に顎を乗せる
視線を寺井から外してその後の事を考える
私の前世で見た漫画の内容は所々が曖昧で
でもはっきり思い出せるのは
来年、ジーちゃんが盗一パパの仇をうとうと動き始めそして、、、、
快斗がその後に続く
そして
青子と快斗の緩やかな恋模様が描かれていた
青子も大好き
快斗も
大好き
醜い感情が沸々湧き上がりそうになるのを抑えてもう一度ジーちゃんをみる
「ジーちゃん、どうやって断ろうか考えてるでしょ」
ハハハっと苦笑いするジーちゃんの目の前に一枚の仮面を出した
「本当はね、盗一パパのマスクもあるの。でもね、もしそれで失敗したら黒羽家に迷惑かけてしまうから。、、、こっちでいってね?」
「これで共犯という事ですかな?」
ジーちゃんはお手上げだと頭を振りながらそれを受け取った
「ジーちゃんが動いている間私はここで働いてるわ。うまく誤魔化すから」
ニコッ笑かけたら本日何度目かわからないため息をついていた