第5章 5
まだまだ残暑の残り香が香る夜
私はあるお店の前に立っていた
[ブルーパロット]
カラン、カラン
「いらっしゃいませ」
聞こえた声は過去に何度か会った事がある寺井(じい)さん
お客様はチラホラ
ビリヤードをしてる人が数人程度
カウンターに座ってシンデレラを頼むと無言ですっと出さられる
懐かしいなぁ
何度か連れて来られたことがあるここは7年前からパッタリとなくなった
たまーに快斗と盗一パパと私のパパと私の4人でビリヤードをしに来たことがあった
パパは昔ビリヤードサークルに入るほどビリヤードが好き
そんな話を盗一パパが聞きつけてお誘いしてくれたのがきっかけだ
シンデレラ
このカクテルは私が大人な場所に少し緊張してた時に盗一パパが選んでくれた物でノンアルコール
名前も可愛いし美味しくてすぐに気に入ってしまった
目を細めながらフフッと思わず笑みが出る
過去の思い出に浸っていると
別の席の人が会計をして出ていくのが見えた
今カウンターに座ってるのは私だけ
「すみません」
寺井さんに声をかけた
「私の事、覚えてる?ジーちゃん」
その呼び方をするのは快斗と私だけ
思い切り目を見開くジーちゃん
「もしや、、、ゆりお嬢様ですか?」
(お嬢様)なんて恥ずかしい///
あの時はプリセスになったみたいで嬉しかったけど今はちょっと痛いかも
「ジーちゃん、お嬢様は恥ずかしい////」
「いえいえ!お嬢様ですから!いやはや〜。まさかこんなところにお一人でいらっしゃるとは。寺井、とても嬉しゅうございます」
にっこりと笑いそう言うジーちゃんに(私も来られて嬉しい)と返した
「今日はね、ジーちゃんにちょっと無理を聞いてもらおうと思ってきたの」
私の言葉にちょっと警戒しながらも(店じまいして参ります)と言った