第42章 33
カフェテリア
「すみません!!あの!特殊制作科の神崎さんですよね?」
アイスコーヒーを両手に持って戻ろうとしたら突然話しかけられてビクッとする
「あぁ!すみません!!驚かせてしまって!…僕衣装科なんですけど!」
そう言ってニコッと笑いかけてくる彼の他に数人一緒に居る人達も衣装科だと言う
「あの!!是非僕たちのモデルになっていただけないですか?」
(お願いしますっ!!)と大きな声で思いっきり頭を下げながらそんな事を言われる
「えぇ、、どうしよう」
まさか頼まれるなんて思ってなくて返事に困る
だって快斗も皆んなも居てまだ周りきってないしそれにモデルなんてした事ない。
「私未経験なんで、、上手にポージングとか出来ないし」
やんわり断るが皆んな子犬の様な目で見つめてくる
ほんと、どうしよう
「いいんです!その初々しさが逆に僕たちのテーマに合ってるんです!僕たちのテーマは[迷い込んだ姫]。舞踏会とは知らずに仮面をつけて参加させられて戸惑う様を是非神崎さんに演じてもらいたい!」
「演じるって、、そんな事」
「お願いです!!神崎さんイメージぴったりすぎます!」
後ろで控えてる女子がぐいっと前のめりに言うので思わず小さく頷いてしまった
「やった!!ありがとうございます!じゃ、これ持って後でモデルハンティングの控え室来てください!」
そう言ってアイスコーヒーを持ってる指の隙間にモデルのみが渡されるカードを挟み込まれ早々に去っていった
早業すぎ
断る暇もなく立ち去る衣装科チームを見て綾音さんの去年の文化祭時の助言を思い出した
[ハントされたくなけりゃ死ぬ気で逃げろ]
当時は何だそれって思ってたし、基本一年生は展示エリアの受付や整備でそこから離れることができなかったからまさかこんな強引だとは思わなかった