第39章 31
昼
「結局快斗と会えてないのよね」
そう言ってムゥっと頬を膨らます千影ママ
「まぁ、仕事だし?ところで守備はどうなの?」
「頑張ってるみたいです」
苦笑いで返す
「ちょっと今電話してみる!…………あら、留守電。もしもしー?快斗ー?あんたね!ちゃーんと解決できなかったら!!私が暫くゆりちゃん誘拐しちゃうからね?わかったぁ??それじゃ♪頑張んなさいよ!」
(これでよし♪)と満足そうな千影ママ
さすが快斗のママ
夜
千影ママとディナー中
「今日で最後なんて寂しいわぁ」
本当に寂しそうに八の字眉にする千影ママ
明日の午前中にはフライトなので千影ママとのディナーも今日で最後
「私もです、、、て、あれ?千影ママ。電話鳴ってますよ?」
「あら、ほんと。快斗だわ!……快斗ぉ?やっと電話、、、、え?…………はいはい。わかったわよ。ちゃんと守るから!そんなに怒鳴らないで、、、あー。わかったわ。伝えるわね」
「どうしました?」
「快斗が今すぐここから離れろって。出来るだけマリーナベイ・サンズから遠くへ行けって」
(とりあえず行くわよ)と立ち上がり会計をスマートに済ませてタクシーに乗り込む
幸い私たちはマリーナベイ・サンズから少し離れた場所なので渋滞にもはまらず遠ざかっていく
「あとね、快斗が[俺が戻るまで泣くなよ]って。全く…泣かれる前に戻ってきなさいよってね?」
きっと何かとんでもないことに巻き込まれてるんだ
ギュッと両手を握っているとその上にそっと手を乗せられる
「大丈夫よ。……ホラ。とりあえずその通信機。オンにしときなさい。きっとゆりちゃんの声が1番やる気でるんだから」
ニコッと笑ってそう言う千影ママ
震える手でピアス型の通信インカムをオンにする
「………快斗、、絶対帰ってきてね」
「フッ。…ったりめーだろ!!」
泣きそうになるがやっぱり涙は出なくて
千影ママの手をギュッと握った
「快斗、大丈夫みたい」
うんうんと頷く千影ママ
大丈夫
快斗は絶対帰ってくる