第4章 4
「あ!そうだ!この前さ、快斗の顔型取りしたでしょ?あれでマスクいくつか作ってあるから明日作業場に来てくれたら渡すね!」
快斗がキッドになっている時によく使っていた手が変装
マスクというのはしっかりフィットさせる為にも本人の型取りをしてその上から別の人の顔に作り変える方が馴染みが良いので快斗にはマジック用にどう?と誘ってあらかじめ型取りしておいたのだ
「やった!楽しみだなー!」
目をキラキラさせてどんなマジックにしようか考えている彼を見ると気持ちがすごく暖かくなるしやっぱり好きだなぁと改めて感じる
あんなことをしてしまったけど好きな気持ちはそっと閉まっておく事にした
だってその方が誰も傷つく事がないから
「じゃ明日ねー!」
そう言って先に快斗の家の前に着いたので手を振ると家の前まで行くと言い出した
「なんかあったらあぶねーだろ」
「いやいや、目と鼻の先なんですが」
徒歩数十歩の距離を謎に心配する変な奴は有無を言わさず自分の家を通り過ぎた
快斗の家の隣が青子の家、そして青子の家の隣がウチなのだ
早々なにか起こりようがない
「いーじゃねーかよ。気にすんな」
気にしてほしくないみたいだからまぁいっかと(はいはーい。素直に送られますよ)と快斗に続いた
「んじゃ、明日な」
扉の前まで送ってくれた快斗を見送ってそっと扉を閉める
バカだな私
もっと遠くに離れたらこんな気持ち封印出来るのに
敢えて茨の道に進んでる気がしてはぁぁとため息をついた