第39章 31
「それでー?どうだったの?シンガポールでの熱ーい逢瀬は♡」
「へっ?!………なんで////」
昨日の快斗の情事の影響+快斗からお願いされてた関係者全員のマスク制作の追加依頼で朝早く起きれなかった私は今、千影ママとブランチ中
「なんでって………ついてるわよ、こーこ♪」
そう言って自らの首元を指差すので慌てて手鏡を取り出して自分の首元を見ると薄ら赤くなっていた
「快斗ったら〜。ちょーっと、ゆりちゃんナンパされてて大変よって言っただけなのに。こんな事で牽制しちゃって。まだまだ子供ね?」
何でか嬉しそうな千影ママ、そんな余裕に私は少し顔が熱くなるのを感じた
その日は千影ママとママとオンラインで結納の打ち合わせをした後、ホテルでゆっくりする事に
夕方
「………聞いてっか?」
シンガポールに来てからずっとインカムはオンにしていたが向こうはオフにしていて
今はじめてその声を聞いた
「うん。聞こえるよ」
「悪りぃけど、◯◯の路地裏。救急箱持ってこれねー?」
小さな呻き声と共にそう言う快斗
ドクドクと心臓が鳴り響く
「……すぐに行くね」
「ああ、、うっ。、頼む」
涙が出そうなのをグッと堪えて救急箱を鞄に詰めて帽子を深く被り飛び出した
快斗は血だらけの左腕を押さえて壁に寄りかかっていた
「よぉ」
苦しそうに笑う快斗に黙って鞄を渡す
「着替えと救急箱。……私やろうか?」
「いや、いーよ。……それより。それ置いてもう戻ってくれ、、後で行くから」
いつもの様に私の目元を拭う快斗
一粒だけポロッと溢れてしまっていたみたい
「……待ってるから。、、信じてるよ」
「ああ。、、、任せろ」
そう言って華麗に立ち去る快斗
まだ我慢
大丈夫
大丈夫
快斗は絶対大丈夫