第3章 3
だって快斗は青子の大切な人で
青子は快斗の大切な人
私は邪魔してはいけない存在
イレギュラーな存在
ごく自然に離れようと手首を捻って抜けようとしてみるもびくともしない
「快斗、離して」
「やだね!またどうせなにかすんだろ」
「しないよ〜お願い」
ダメだよ快斗
これ以上は近くにいたくない
泣きそうになるのを作り笑顔で必死に取り繕う
そしたら突然掴まれていた両手をグッとひき寄せられて
気付いた時には快斗の胸の中にすっぽり治っていた
「ちょっ!!!!快斗!?流石に///」
もぞもぞ抵抗するも全く逃げ出す事出来なくて
仕方ないから身を委ねる
トクッ、トクッ
快斗の規則的な心臓の音に対して私は不整脈を起こしそうなほどドキドキしている
こんな風に抱き合ったのは何年振り?おそらく、快斗パパが亡くなった時以来
あの時とは違ってお互い大人の体に近づきつつある今、そして恋だと自覚してる私にとっては毒以外の何物でもない
「バーロォ、、、泣きそうな顔で笑ってんじゃねぇーよ」
なーんでバレちゃうかな
あのときもそう
快斗パパが亡くなって青子が大号泣してるのを必死に私は泣くまいと快斗と宥めてた
泣き疲れた青子はそのまま寝てしまい青子パパに連れられて帰っていき私は快斗と2人きりに
快斗に私も帰るねと言いその場を立ち去ろうとした
けど快斗に抱きしめられたことによってそれは出来なくて
「青子もいねぇーし。もう別に泣いたっていんだぜ」
そう言う快斗は泣いてないじゃない
「俺はもう平気だ。だって親父は大好きなマジックショーで死んじまったんだ。それにもう昨日たくさん泣いたしよっ」
ズッと鼻を啜る音が聞こえて、何だか安心してしまって思いきり泣いてしまったことを思い出した