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最後のマジック

第3章 3











その日の夜


部屋で本を読んでると窓ガラスがコツンっと何かが当たった音がした

そっとカーテンを開けると快斗がベランダに立っていた




「不法侵入」
それだけ言って招き入れた



いつもの定位置にどかっと座り込んだ快斗は下を向いていて表情がよく見えない
招き入れてからずっと快斗は一切口を開く事はなかった




「青子から聞いたんだってね。高校のこと」
バレてしまったものはしょうがない
もう受験も終わって卒業式まで待つだけの私達には後の祭り



それを仕向けたのは私だけど




「ゆりさ、反対すると思ったのか?」
そう言う快斗はいまだにこっちを向いてくれない


卒業して高校に行き始めたらこうやって毎日長い時間会う事はできないから、もっと大事にしたいのに




「反対は、、、しない?よね?」

「なんで疑問形なんだよ」


反対はされなくても
私の心が乱れそうだったから言えなかったの

そう言いたい気持ちをグッと堪える




だってそう言ったらじゃあなぜ?となるでしょう?
その理由は私にはとてもじゃないけど伝える勇気はないから





「ごめんね?」
青子に言ったことと同じことを繰り返す


いまだにこっちを向いてくれない快斗にだんだんイライラしてきた




「んぶっ、、、ひょい(おい)」
快斗の顔を両手で挟んで思い切りこちらに無理矢理向かせた


「だってー。せっかく来てくれたのにずっとそっち向いてるつもり?」

「ひゃからっへいふもひょまへはほーいんなんはひよ(だからっていつもお前は強引なんだよ)」

「なんつった?」
何となく何が言いたいかわかったけど分かりたくなくてあえて聞き返したら私の両手首を掴んで下ろした

「はぁー。怒る気もおきねぇーよ。お前相手じゃ」

「ふふっ。役得ww許してくれる?」

「許すも何も」



そう言って見つめられて改めて気付いてしまった、この距離はダメだと




今快斗は私の両手首をこれ以上イタズラされない様にガードしてて向かい合わせで膝をくっつけて合わせている状態

今までこんな事たくさんあったけど、前世の記憶を思い出してからは出来るだけ快斗との距離を保ってきた



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