第28章 23
翌日
「じゃあママ行ってくるね♪」
(パパも!行ってくるねー!)中にいるパパにはそう叫んだ
すると小走りで玄関まで来るパパ
「気をつけてね!快斗くん!!頼んだよ!」
快斗の肩にぽんっと手を乗せるパパ
快斗はお得意のポーカーフェイスなのか笑顔で対応している
「楽しんできてね(ちゃんとする事はしないとダメよ)」
こそっと耳打ちするママ
これは多分避妊しなさいよって事
わかって一気に赤くなる私の横でこれもまたお得意の怪盗の技術使って耳打ちの内容を聞いてしまったのかほのかに顔が赤い快斗
「「じゃ!行って来まーす」」
そう言って手を振って駅に向かう
そしてそこで快斗とわかれる
快斗は[仕事]があるので別ルートだ
「じゃあ快斗!先に行ってるね♪」
背伸びをして頬にチュッとキスする
「おまっ///場所考えろって//」
そう言う快斗に手を振って電車に乗り込んだ
ホテル
「え、嘘」
[速報です。函館行き865便が何らかの不具合で着陸出来ず……火災が……」
手が震える
急いでインカムの通信をオンにするが向こうは切っているのか息遣いも聞こえない
快斗
無事でいて
暫く動けなくて
今度は身体が震え始めたので深呼吸する
大丈夫
大丈夫
とりあえず温かいコーヒーでも飲もう
震える手を抑えて温かいマグカップを握る
フーフーと冷ましコクっと一口飲む
味がしなかった
ニュースによると空港は火災で着陸困難、865便は何処かへ消えた
「うっ………ひっく、、快斗ぉ」
「バーロォ、、、1人で泣いてんじゃねーよ」
風の音で聞きづらいがはっきり聞こえその場で座り込む
「良かった、、ふぇ、、ひっく」
「悪いけど今すぐ帰れねぇーんだ、一個やらなきゃなんなくて」
「え?」
「大丈夫。そんなに危険なことじゃねーから」
そしてフッ。と笑う声
「帰るまで1人で泣くんじゃねーぞ?……約束したんだよ。オメェの涙は絶対拭うって」
(じゃあ待ってろ)と言って通信が切れた
約束?
誰とかな?
多分パパか、ママ?
その思いが今持ってるコーヒーより暖かく感じて自然と身体の震えもおさまった