第25章 21
舞台が始まり
そして大詰めを迎える
今回快斗が狙っているビッグジュエルは「グリーンドリーム」
エメラルド色の大きな宝石だ
ストーリーの途中でヒロインが侍女に向かって強い言葉を言い放つと戸惑ったのか花瓶を割ってしまった
『なんか感じ悪いね、あのヒロイン』
こそっと言うと(青子も思った)と同調する
『だろ?』
快斗を見るとすごく嫌そうな顔
昨日何かあったのかな
そして
ラストシーン
[其方がそれを望むなら…]
『んじゃ、よろしくなっ』
そう耳打ちして、私の手を取りそっと口付けをしたあとさっと消える快斗
私はバルーンのスイッチを押し快斗の人形を膨らました
突然ライトが全部光り眩しすぎて舞台上が全く見えなくなり、そして次に気がついた時にはグリーンドリームが消えて代わりにキッドのカードが一枚現れた
次に真っ暗になる
「夜の帷は落ち…月が傾き始めたその頃…
舞踏会に出払って、誰もいなくなった城に…
王子に想いを寄せる1人の少女がいた…
彼女の名は
召使いA」
快斗の声と共に1人の女性がライトアップされる
「毎日のように、いじわるな王女いじめられ…
誰にも自分の想いを伝えられず…
その小鳥のような小さな胸を痛め続けていたかれんな少女…
そんな彼女のもとに…
怪しげな1人の魔法使いが…」
舞台の天井が開き夜空の星の光であたりが明るくなる
そしてそっと
闇夜に浮かぶ白い鳥が舞い降りてくる
「降り立った…」
フッ。と不敵な笑みをもらす快斗
「キ、キッド?!」
「いいえ、私はキッドではありません。
あなたの願いを叶える
魔法使い!!」
女性の召使いの衣装が一気に華やかなドレスに変わる
会場からは歓声が上がる