第22章 19
信号待ちで向こう側にいるカップルの話し声が聞こえてくる
「キッドは大丈夫よ!」
「でも博物館の屋上だぜー?」
「そんなのダーーン!て走って壁を登るのよ!キッドならそれくらいやるわ!」
「ハハっ!それあるかもなー!」
快斗を見ると苦笑いしていた
その後もテレビの前でキッドがどうやって盗むのかを期待する様な声が聞こえ
快斗はいつものポーカーフェイス
そっと手を離すとそのまま先に行ってしまう快斗
また耽っているみたい
暫くして立ち止まりくるっと私の方を見る
「やっぱり、客を楽しませねーとな」
ニシシッと笑う姿は何かが吹っ切れたようだ
「ほら、早く行くぞ」
さっきまで照れてたくせに手を差し出してくる快斗が可笑しくてちょっと笑いながら小走りで駆け寄った
ブルーパロット
「しっかしゆりこんなもんまで作ったのかよ」
本物そっくりの鈴木大博物館を見てそう言った快斗に(ありがとう)と素直にお礼を言う
「こいつがブルーワンダーか。ハンググライダーで飛んでって、抱えて帰れるんじゃねーか?」
「そうもまいりません、鈴木次郎吉は精鋭揃いの警備チームを雇用しておりましてそれにはヘリコプター部隊も含まれております」
そう言われてジーちゃんの用意した資料を手に取る
「数は20機、増員募集中だってさ」
はい!と紙を快斗に手渡す
「そんな飛んでたら気流が乱れてハンググライダーは使えねーな。別の足を考えるかー」
「それでも難しゅうございます」
「今度は何だよ」
ちょっと嫌そうな快斗
「施工業者から仕入れた情報なんですが………