【ヒロアカ】転生した先は猫人間でした【爆豪】【轟】
第16章 個性の話
「明日からフツーの授業だねぇ!」
「色々ありすぎたな!」
「一生忘れられない夏休みだった・・・」
仮免取得試験を終え、一息ついたA組生徒達が寮の共有スペースに集まりそれぞれ話をしていた。
『・・・』
「紬ちゃん?浮かない顔ね、どうしたの?」
『あっ、梅雨ちゃん・・・。いや、なんかちょっと疲れちゃって』
「あら大変、早く部屋で休んだ方がいいんじゃないかしら」
「えー!!せっかく落ち着いたから色々書こうとしてたのにー!!」
隣に座る蛙吹に声をかけられ我に帰る紬。
試験の疲れもそうだが、この後起こる事件をどう立ち回ろうかと考えていた。
しかしそんな思考を遮るように芦戸が声をあげる。
『え・・・』
「爆豪のこと!!!」
『は、はは・・・。やっぱり部屋で休むね』
「逃げたー!!!」
「無理強いはいけませんわ!」
部屋に戻ろうと後ろから飛んでくる野次を背中に受けていると、爆豪の声が耳に入った。
[後で表でろ。てめぇの個性の話だ]
『はぁ〜・・・』
紬を悩ませているのは2人のこのあとの殴り合いのことではなく、今後の自分の立ち回りだ。
現在自分の奇妙な力を知っているのは相澤、爆豪のみ。
おそらく相澤は自分の身に余計な危険が降りかからないよう外部に情報を漏らしていないのだろう。
だが、これから危険が増えていく中で秘密の共有をできる人間がもう少し欲しいところだった。
それは同じく特別な秘密を持つオールマイトや緑谷がうってつけだということもわかっている。
問題はタイミングだった。
とにかくいつも何かしらの事件や行事で個人的に呼び出すこともできなかったため、今回のトラブルは紬にとって好都合であり、これを逃すともうタイミングがわからなくなってしまう。
『・・・行くかぁ・・・』
紬は意を決して夜中に部屋を出る。