第5章 第二体育館の烏たち
影山 side
「…鈴木さん、部活は?」
「やりたいのないから、帰宅部で全国大会目指すとか言ってましたけどね」
「え、なに、面白い子なの?」
「それに鈴木、クラスまで来たマネージャーの勧誘全部断ってなかったっけ?ツッキー」
「うん、休みの日はやることあるって言ってた気が」
「…そっか、残念」
「なんだよ彼氏とデートか!?」
…彼氏?
「影山はさ、鈴木さんのこと知らないって言ってたよな」
「ああ、知らねえ」
「「「は!?」」」
「…なん、スか?」
「なに王様、鈴木のこと知らないって入学式寝てたわけ?」
「寝てねえし、その呼び方ヤメロ!!」
「超有名人なのに!」
「頭の中バレーボールだけで出来てんじゃないの?」
「うっせえな!」
「そんな影山でも至近距離で鈴木さん見たら絶対照れ山くんになるって!おれやばかったもん!」
「あ、それいいね、僕王様の照れてるとこみたーい」
「あ゙!?照れねえし、あいつのことはもう良いだろ!」
「あいつ?」
「っ、だからその、鈴木さんのことはもういい!さっさと練習しようぜ」
「でたよ、脳みそバレーボール」
「なんとでも言えよ!!おい日向速攻の練習すんぞ、こっちこい」
「おっ!おうよ!」
校内での関わりを避けてきた俺たちだ。あいつが俺と同じ部活のマネージャーなんてまず選ばないことは分かり切ってる。部活内となればお互いに“知らない”では片付けられなくなるしな。
それに校内で関わらなさすぎて今さらどう接すれば良いかわからねえし、今後も極力関わらないほうがいいだろう。
それにしても…たかだか1、2週間やそこらで先輩にまで知れ渡ってるってあいつ何者だよ。