第24章 春高一次予選開始！

影山 side

「えぇーっ、だよね！？美里、よく分かってんじゃん！飛雄、美里が私たちのことお似合いだって！嬉しいね」


「…………」


目の前の女は黙ったままの俺を見ると、真顔で美里へと距離を詰めた。



「ねぇ、美里」

『…なに？』


「約束、破ってないよね？」

『……っ！』


美里は弾かれるように顔を上げた。その表情は苦痛に歪んでいて今にも泣き出しそうに見える。


…約束ってなんの事だ？


「まさか美里、約束破っ」


『破ってない！…破って、ないよっ…本当に』


「嘘ついてない？」

『ついてない！』


「そう、ずっと忘れないでよね」

『っ…わかってるよ、ひばりちゃん』



「鈴木さん」

俺が声を掛けると、美里はキュッと唇を噛み締めて苦しそうに俺を見た。…なんだその顔、どうしたんだよ。俺が近寄ろうとすると、美里は１歩後ずさった。

「おい、お前」

『っじゃ、じゃあすみません！私先に荷物のところに戻りますね！影山くん、ひばりちゃんに久しぶりに会えて良かったね！せっかくだし、いっぱいお話したら？…じゃあね、ひばりちゃん』

「ばいばーい」



「お、おい！」



引き止める俺の声に振り返ることなく、美里は走り去ってしまった。