第23章 止まり木
影山 side
梟谷の5番がベンチとアイコンタクトを取ったと思って、その先を追うとそれは会釈をする美里だった。そうだ…コートチェンジはしてないからこっちは烏野ベンチか。
「…あ、ごめんね惑わせて」
「いやスンマセン…梟谷、ベンチから何か指示が出たのかと思ってクセで」
「視野が広いな」
「…そっちもっスよね」
ここからベンチの美里に視線を向けるなんて、そっちの方が視野広いだろ。
「視線が熱くて、ね」
「…………」
5番の人の目は、俺の反応を伺うようなものだった。俺は目を逸らして、試合に集中した。
心に残るモヤモヤは、しばらくの間消えてはくれなかった。