第21章 影に隠した秘密
谷地 side
「お願いしあス!」
「「「シあーす!」」」
体育館に入ると、他の学校の人たちが一斉にこちらを見た。
「ヒッ!?」
「仁花ちゃん、大丈夫?」
「はっ…はい!」
すると、私の目の前にダダダッとすごいスピードで髪のツンツンした人が走ってきた。
「ヒィィイイッ!?!」
「ねえねえ!テーピング巻いて!」
「……てーぴんぐ?」
「キミ、テーピング上手いんでしょ!?どうやるのか見てえからさ、俺のも巻いて!」
ホラッと両手を差し出すその人に私は困り果てて首を傾げた。
「……へ?」
「木兎ちげえよ、この子じゃない」
「え?…あ、じゃあキミ?」
「違います」
「んえ!?」
「その子でもねえのよ」
「はぁ!?黒尾が言ったんだろ、烏野には顔が可愛くて仕事の出来る超ハイスペックマネージャーがいて東京に連れて帰ろうかと思ったって!」
「あっ…ちょ、木兎一旦黙ろうか、なんか俺澤村くんにすげえ睨まれてる」
「…別に睨んでないけど?」
「澤村さん、娘を守るお父さんみたい…」
「言えてる」
「あー…木兎、その子も後から合流すんだって、超人コンビと一緒に」
「なーんだ、そうなのか!楽しみだな!キミたちごめんな」
「いっ、いえ!」
木兎と呼ばれたその人は、また走ってチームのところに戻って行った。びっくりした…。
「仁花ちゃん、平気?」
「はいっス!すごく驚きましたけど…あの、テーピング?ってなんですか?」
「バレーはボールに指が弾かれて痛めたり突き指したりすることが多いスポーツなの。それを応急処置したり予防するために、布状のテープを指に巻き付けて固定する、それをテーピングっていうんだ」
「なるほど…たしかに、指痛そうですもんね」
「美里ちゃんはそれがすごく上手で、前に音駒と練習試合した時主将に巻いてあげてたんだよ」
「へえ、すごい!」
「そーそー、どうもその時助けてもらった主将です」
「わっ…そうなんですね!」
…浦島太郎の亀?
「ほいじゃっ、烏野のみなさんよろしく頼んますね」
「おう、こちらこそ!」
私と清水先輩はドリンクやビブスの準備をして、試合に臨んだ。
日向と影山くんは無事に補習終わったのかなぁ…。