第21章 影に隠した秘密
「はーい、じゃあ数学のテストを返す前に平均点から発表します。学年平均63点、クラス平均75点でした。今回は4組が1番クラス平均が高かったわ、みんなよく頑張りました」
「「おお〜!」」
「じゃあ名前の順に返していきます、藍尾さん」
「はい」
『うう…この瞬間好きじゃない…』
「そう?」
「鈴木さん」
『はい!』
私がガタッと立ち上がって教卓まで行くと、先生はにっこりと微笑んで答案用紙を渡してくれた。
「素晴らしい、よく頑張りました」
『あっ、ありがとうございます』
右上に書かれた点数は3桁だった。
ツッキーも答案用紙を手に席に戻ってきた。
「なに浮かない顔して、平均以下だった?」
『そうじゃないんだけどね』
そうじゃなくて、単純に反応に困ってしまう。
この点数を知られたときに、
嫌味な人だと思われたらどうしよう
傲慢に映ったらどうしよう
嫌われたらどうしよう
すると、横から長い腕が伸びてきて私の答案用紙が指から抜かれていった。