第21章 影に隠した秘密

体育館に集まった私たちは、汗ばむ陽気の中ジャージを実に纏っていた。

「うう…あちー…」

「ちょっとの間だけだから、ほれ月島もこっちゃこ！並べー」


「な、なに？」

『えへへ〜』

「鈴木さん？」



「えー、今日から谷地さんがマネージャーとして正式入部ということで」


「はい」

「え？」


潔子先輩からジャージを手渡された谷地さんは驚いた顔をしていた。



「せーのっ」



「「「ようこそ！烏野高校排球部へ！」」」



私もみんなと同じポーズをとって、谷地さんを見た。



「わっ……わぁああ、よろしくお願いシャス！」


「「「シアース！」」」



「なんだ鈴木お前、嬉しそうだな！」

『はい！谷地さんの入部も嬉しいですし、これ私もやりたかったので！』



「あー…思い出すぜ鈴木の入部の日」

「あれは爆笑モンだったよな」

『もう忘れてくださいっ！』

「何があったんですか？」


「鈴木が入部希望で体育館に来たとき、コンチワァーッス！って超でけえ声出してさ」

「えっ！？鈴木さんが！？」

「そんで、ここでマネージャーをさせてください！って千と千尋みたいに叫んだの」

「ガラケーみたいにパカッてお辞儀してましたよね」

「あっははは！覚えてる覚えてる！超キレーなお辞儀だった！」

『ちょっ』

「元気が足りなかったのでもう１度とか言ってやり直そうとするし、俺やばかったよ」

『澤村先輩、もうやめてくださいよ〜…』


「鈴木さんって面白い人なんだね！」

『谷地さんもやめて〜…』



「そういえば影山はあの時どう思って見てたの？」

「…コイツ何言ってんだバカかって思いました」

「だっはは！ウケる！」

『ひどい！マネージャーの相談した時になんも教えてくれなかったくせに！』

「俺だってまさかお前が突然あんなバカみてえなこと言い出すとは思わなかったんだよ！」





「あれ？お２人、前より仲が良くなった？」



キョトンとする谷地さんに私たちはハッとする。



谷地さんは部室での勉強会には自分の勉強を優先したいということで参加していなかったし、私が部員に話したことを伝えたのは武田先生と潔子先輩だけだったから、まだ谷地さんには話していなかったのだ。