第21章 影に隠した秘密
私が問題を解き終えてシャーペンを置くと、まだみんなは問題を解き切っていないようだった。もう一度最初から見直して、しばらくすると澤村先輩のスマホからアラーム音が鳴った。
「はい、そこまで」
飛雄と日向くんはわかりやすく頭を抱えていた。
「じゃあ交換して答え合わせしろ、これ回答な」
「各学年、最下位がトップにアイス奢れなー!」
「ス、スガさん勘弁してください!」
「クソー!先に言ってくれたらもっと頑張れたぜ!」
「西谷かっこ悪いぞー」
「力め〜!!」
「鈴木、王様と答案交換して」
『なんで?』
「王様の理解出来てない場所と足りてない場所を示して欲しいのと、王様には単純に鈴木の答案がどんなのか見て欲しいから。僕は日向と交換するから、山口は先輩と交換して」
「わかった!」
「じゃあ山口、縁下のな!」
「はい」
「ん」
『ん』
私と飛雄はお互いの答案を交換した。飛雄のテストの採点をするなんて初めてかもしれない。
右下に書かれた “影山 飛雄” という名前、癖のある文字を見て思わず笑みがこぼれる。