第20章 されど空の青さを知る
影山 side
──「影山ー!4組いこーぜ!」
チャイムと同時に3組の入口で俺を呼んだ日向。英語で分からないところがあるのに先生がいないという理由で4組に行こうと言い出した。
部活以外の時間まで月島のヤローと顔を合わせるのは全く気が進まない上に、4組といえば美里がいる。部活内ではそこまで気を遣わなくなった俺たちも、学校の廊下や移動教室ですれ違う時は他人のフリを続けていた。
中学の時は教室に行っても目すら合わせなかったけど、今は同じ部活だし中学の時とは違ぇんだよな…部活が一緒なだけの同級生ってどんな風だ?
「ホラ、早く時間なくなる!」
俺は半ば引きずられるように4組の教室に入った。あいつの笑い声が聞こえて、どこにいるのかすぐにわかった。
「失礼しあーす!」
「………しあす」
『え、日向くん……と影山くん?』
俺の顔を見た瞬間、顔を引き攣らせた美里。
「鈴木さーん!」
日向が美里の名前を呼んだ瞬間、教室にいた男の視線が集まった。…こいつら体育で見たことねえから4組のやつじゃねえな。
『どうしたの?』
「月島…さんに勉強を……」
『…だって、月島さん?』
こいつら、マジで隣の席なのか。
「…部活前後だけって話だったよね?」
「「………」」
「ねえ?」
「だ、だって英語の吉田先生いなかったんだもんよ〜」
「営業時間内に出直してくださーい」
「はぁー!?頼むって、ちょっとでいいから!影山、お前も頼めよ」
「……たのむ」
「ちょっと鈴木、このバカなんとかして」
『なんとかって』
「鈴木さん教えてくれる!?」
『え?別にい……』
美里は何かを言いかけて、俺の顔をチラッと見た。
『あっ…ごめん、私教えるの下手だから』
「えー、鈴木さんなら俺全然いいのに!」
「おい、日向行くぞ」
「は、待てよ影山!」
ドアに向かって歩いていると、突然声を掛けられた。
「あのっ!…影山くん」
「?…はい」
「私、球技大会の時の…」
「……あ、」
この女子、ボールぶつかった人か。